「たかがボランティア」のできること
こんにちは。放課後ボランティアcompのメンバー桑田湧也です。
compの一員として、ボランティアがもっと増えるにはどうしたらいいだろう、といったことを考えながら説明会の運営などをする傍ら、僕自身も定期的にいろんなところにボランティアに行っています。
大学1年生の僕が今年行ってきたボランティア先は、放課後学習支援や児童館、中学校・・・と様々で、一つひとつの現場でいろんな子どもたちと出会いました。
そんな1年間の大学生活を振り返ってみて感じたこと、考えたことをありのままに書きたいと思います。
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僕が大学に入学してcompで活動するまでの経緯を書きたいと思います。
鳥取県の田舎に生まれて普通に育ってきた僕の生活が一変したのは、両親が離婚した小学3年生のときでした。僕は双子の妹たちと一緒に母親についていき、新しい生活を始めました。
しかし、そこで思ってもみないことが起こりました。
僕の母が「がん」になったのです。
母の病状は次第に悪化していき、大きくなった腫瘍のせいで傷口はえぐれ、1人で立つのも困難になってきました。
懸命の闘病生活の末に母親は亡くなりました。僕が小学校を卒業するころです。母の死はずっと覚悟していたことだったにも関わらず、異常なほどの悲しみがこみ上げてきました。あの瞬間以上に泣いた日は人生においてほかにないと思います。
そういった経緯があり、僕は父の元へ妹たちと戻ることになりました。
ここから僕の家庭は徐々に「相対的貧困」という経済水準に近づくことになります。
父はそれまで長距離トラックの運転でお金を稼いでいましたが、なにしろ不便な田舎であるため駅からの送り迎えや家事をする必要があります。仕事に割ける時間は少なくなり、それに伴って所得も減少していきました。
そして僕や妹が進路選択を迎える時期になると、状況の深刻さが表面化します。
妹たちは定時制高校に通いアルバイトをしながらお金を貯めていました。彼女たちは家にお金がないことが分かっていたため、専門学校に行くという自分たちの望みをかなえるためには自分たちでがんばるしかないと考えていたのです。
しかし、僕が一度目の大学受験に失敗し浪人することになると、そんな彼女たちの懸命な努力も無駄になっていきました。彼女たちは月々のケータイ代やその他生活費も父と分担して負担するのみならず、僕の模試の受験料などといった本来払う必要のないお金まで出さなくてはなりませんでした。
申し訳ないと思いながらも娘たちにお金をせがむ父、不本意ながらも自分たちのお金を家族に還元する妹。
そして、何もできずのうのうと勉強しているだけの自分自身。
自分に一番腹が立ちました。
だれも悪い人はいないはずなのに、なぜ自分のためにここまで家族が苦い思いをしなければならないのか。自分にはそこまでしてしたいことだけをする権利はあるのか。
お金のことで家族は父と妹たちはよくもめていました。家にはなんとも言えないどんよりとした雰囲気が漂っていました。彼女たちが家出をしたときは本当に深い罪悪感にかられました。
「お兄ちゃんがうらやましい」
いつか二人の妹のうち一人が涙ながらに僕に言い放った一言です。
僕の脳裏からは、この瞬間の空気感とか彼女の表情とかそういったいろんな微細な情景がいつまでたっても消えることはないと思います。そのくらい、衝撃的でした。
そんな風にして、気付いたら僕はこの「貧困」という現実に対して様々な思いを感じるようになりました。
「お金がない」というとてもシンプルな現実によって、人と人との関係性が傷ついたり、何か一つの希望を叶えるためには別の希望をいくつも犠牲にしなければならないということ。
大学に入学してそうした現実に対して何か動き出したいたいという問題意識にかられ、生活保護家庭の子どもたちに対する学習支援ボランティアを始めました。
そして、それをきっかけにいろんなボランティアに参加して、いろんな子どもにかかわるようになりました。貧困のみならず、知的障がいや発達障がい、そのほかいろいろな背景を抱える子どもたちと接するようになりました。
そんな風に、日常的にボランティアをしながらいつも感じることがあります。
それは、所詮自分は「たかがボランティアなんだ」という思いです。
自分が子どもたちに直接関わって、一緒に話したり遊んだりすることはできても、自分が社会保障の仕組みを整えるだとか、経済的困難を抱える子どもたちに直接お金を支給するだとか、子どもたちにとって本当に助けになることはできません。
所詮自分は「たかがボランティア」だからです。
そんな無力感と同時によく僕が思うボランティアの役割は「その子のロールモデルの一つになる」ことです。
コミュニティの存在が希薄化した現代においては、そういった出会いはお金無しではなかなか保障されにくいです。家庭と学校だけで関係性が完結し、しかもその家庭の中、学校の中でも十分に関係性が温まっていない現実は数多くあります。関係性はとても身近なのに、思ったよりもずっと手に入れるのが難しいのかもしれません。
僕は、「たかがボランティア」でも、いや「たかがボランティア」だからこそ、様々な垣根をすり抜けて、子ども一人ひとりを取り巻く関係性の一部になれるのではないかと思うのです。自分自身がロールモデルとして彼らの中にいることが、彼らの豊かな人生の素材になるのかもしれないと思うと、ボランティアでもできることはたくさんあるのだろうなあと思います。
だからこそ、自分含めていろんな人たちがボランティアとなって、子どもたちの関係性の輪の中に入ってほしいと思っています。
放課後ボランティアcompは、より多くの人たちをボランティアへと巻き込み、その人ならではのやり方で子どもたちに関わってもらいたいという思いで活動しています。
あなたの「日常の一コマ」としてのボランティアの時間が、
子どもたちの豊かな人生の一瞬に繋がりますように・・・
桑田
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