子どもの叱り方教室 報告記事
こんにちは。放課後ボランティアcompの1回生吉田です。10月9日(日)、中京青少年活動センターにて、「子どもの叱り方教室~子どもの勉強や遊びをサポートするあなたへ~」と題して、第2回comp研修会を開催しました。この記事では、その様子を報告します。
研修会の目的
放課後ボランティアcompでは、メンバーのそれぞれが京都市内の児童館や学校にて、子どもの学びや遊びをサポートするボランティア活動を行っています。まだまだ「やっていいこと」「やってはいけないこと」の判断が未熟な子どもと接する中で、時には叱らなければならない状況に直面します。そのような中で、「叱る」ということを学問的知見からその働きを改めて考えた上で、より効果的で実践的な「叱り方」を身に着けるべく、この研修会を開催しました。
講師紹介
今回の研修会では、びわこ学院大学教育福祉学部非常勤講師の髙橋伸彦氏を講師としてお招きしました。髙橋氏は、脳梗塞を患い退職するまで公立小学校教員を25年間務め、リハビリで復帰して以来、現職に就いています。学校づくりと人権教育に造詣が深く、ハンドルネーム「滋賀のタカブー」として、保育・教育や育児・子育て支援の記事をネット上に公開する活動を行っています。
髙橋先生の記事はこちらから↓
●活動の様子
第1部 髙橋先生講演「『叱り』の働き~叱り方5つのポイント~」
子どもを「叱る」ということは、子どもに対し腹を立て、怒ったり、怒鳴ったりすることではありません。「叱る」ことの目的は、子どもが自分も他人も大切にできるように、1つずつヒントを教えながら、子ども自らが気付いて納得し、次の行動を自己決定できるようにするきっかけを与えることです。その上で、子どもとの間に良好な関係を築きながら、より効果的に「叱る」ために、押さえておきたい5つのポイントがあります。
その1:子どもの目を見て話を聞き、語りかける
児童館等でボランティアが対応に困る子どもは大きく2つのタイプに分けられます。「自分を出したがる子」と「自分を出せない子」です。「自分を出したがる子」は、親から十分に構ってもらえないために満たされない心を、先生やボランティアに満たしてもらおうと、周囲の子どもたちのことを考えずに、自己中心的な行動をとってしまいます。「自分を出せない子」は、「良い子」であろうとするあまり過度に親の評価を気にして、自由な自己表現ができなくなっています。このようなタイプの子どもと接するときには、叱る以前に、子どもの目をしっかり見て、こちらの感情を伝え、子どもが自己表現できるサポートが必要です。そのための環境づくりとして、日頃から「どうしたん?」「困っているん?」などと聞くことで、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
その2:叱責から行動の制止への発想転換
一般的に、子どもが問題行動を起こすと、「どうしてそんなことをしたんや?」「そんなんしたら、あかんやろ!」と叱責します。しかし、それは逆効果になり得ます。指導や説教などによって、子どもに正しさは伝わりません。そればかりでなく、子どもが警戒心を抱き、反抗するようになることで、子どもとの関係の中に軋轢を生んでしまう可能性をも孕んでいます。そこで、発想を転換して、子どもが問題行動を起こした時には、叱責するのではなく、「今から叱るで」などと叱責する前に事前通告するようにします。すると、子どもは「これはヤバい」と自分は止めなくてはならない行動をしているのだということに気付きます。こうして、自ら行動を制止できるようになり、大人の話を聞ける状態になります。
その3:相手を尊重し、共感を示す
子どもを叱る時はおろか、ひいては子どもと接する時全般において、大原則となることは、子どもを尊重し、一緒に行動し、話を聞き、会話を笑顔で終えるのが大人の役割だということです。その上で、意識しておきたいことが3点あります。1つ目は、「〇〇くん/ちゃんの気持ちは先生もよく分かるで」ということを伝えるために、言葉を補い、言葉を選びながら、子どもの気持ちを代弁することです。2つ目は、「~したらあかん」と禁止の言葉を使って行動そのものを否定するのではなく、「~したらどない?」などと肯定的な視点から、具体的にどうすればいいかを示すべく、他の方法・行動を提案することです。3つ目は、「~やから」のように理由を添えるなどして、具体的な表現を心がけてお互いの理解を深めることです。この3点を意識することで、子どもへの伝わり方が格段に違ってきます。
その4:指導者間の情報共有&引き継ぎ
「どうして良いか対処法が思いつかない…」子どもを相手にする上では、多くの人がそのような状況に直面することでしょう。ボランティア経験が浅い人であれば、尚更です。そういう時には、一人で抱え込まずに、同じ現場にいる誰かに積極的に相談するようにしましょう。知識や経験を活かしたアドバイスをもらえたり、それまでは見えていなかった新たなアプローチが思いついたりして、突破口が見えるかもしれません。「こういうことがあった」「こんな子がいる」という単なる事実だけでなく、「この子どもにはこういう対応を心がけた」「こういう時にこうした」など、成功事例も失敗事例も含めた具体的な対応を共有しておくことで、次の指導者に対しても子どもに対しても、プラスに働きます。
その5:子どもの自尊感情が育つ「叱り言葉」と「褒め言葉」
同じ内容を伝えることを意図していても、言い方一つで子どもへの伝わり方が大きく異なります。折角、叱るのなら、褒めるのなら、心に響く言い方をしてみませんか。叱り方のポイントは肯定的な行動を促すこと、褒め方のポイントは子どもの行為そのものを評価することです。
第2部 ケーススタディー~こんな時、あなたはどうする?~
髙橋先生の講演の後は、4人ずつのグループに分かれて、子どもと関わるボランティアをしている際に起こり得る場合を想定して、髙橋先生の講演内容を踏まえつつ対処法を考えました。今回想定した場面は、compメンバーがボランティア中に実際に遭遇した次の2パターンです。
ケース①:腕を強く引っ張ったり、たたいたりする子がいる時
ケース②:ブランコを独占したままいうことを聞かない子どもがいる時
参加者の多くが、日頃から児童期の子どもと関わるボランティアをしているということで、講演内容だけでなく、実体験も踏まえつつの議論となったので、どのグループの議論もかなり高度なものでした。全体共有では、各グループで議論した結果を、時には寸劇を交えながら発表し、それぞれの案に対し、髙橋先生がご講評をしてくださいました。
第3部 交流会
講演及びケーススタディーの後、お菓子を囲んで参加者同士の交流会が行われました。日頃のボランティア活動の情報交換からお互いの大学の話に至るまで、様々な会話が行き交いました。終始、和気藹々とした雰囲気であり、参加者同士の親睦を深めることができました。
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